11月、The Death of Stalin を観てきました。題名通り、スターリンが急死してからフルシチョフが実権を握るまでの権力闘争をコメディとして描いたもの。ソビエト史はそれほど詳しくないですが、事実を基にしているので笑いとのギャップが面白い、というか黒すぎて笑えるけれどもおそらく事実は・・・と考え出すと笑えない、よく作ったね、これ・・・という映画でした。
そもそもは映画のポスターを見たときに、ソビエト旗を背景にアクの強そうなおじさん5人がずらっと並んでいるのが強烈で、「これは何だ・・・?」と思い、トレーラーをYouTube
で見てみたら案の定というか、これは今見ないといかん、ロシア革命100年だし、ということで行ってきました。
イギリスの映画なので皆英語を話していて、そこは事実とはもちろん違うわけですが、だからこそコメディ感が増すという側面もあると思います。旦那さんは「でもロシア語じゃないのがなあ」と言ってましたが、いやいや、あれをロシア語で演じたら洒落にならないというか、あまりに事実と近すぎて笑えないと思います。なんせ、次のリーダーを誰にする、これからの委員会をどうする、という水面下の駆け引きの裏で、ばったばったと人が殺されていくのです。主役たちの背景に映っている、連行されていく人たちや、階段の上から転がり落ちてくる人、そうかと思えばすんでのところで銃殺を免れる人など、これぞスターリン時代、という描写がふんだんに盛り込まれています。
私にとってはソビエト連邦はすでに教科書の中の世界で、あまり実感のない世界ではあります。しかし、この映画はそんな人にもスターリン時代の苛烈さや、独裁政治のなれの果ては喜劇と紙一重ということをこれでもかというほど、でもコメディなので適度に距離を取りつつ見せてくれます。そしてもちろん笑えます。だから、ソビエト時代を知る人にとっては大受けすること間違いないでしょう。「マレンコフいたなー!」とか、「ベリヤねえ・・・」と思える人には面白いはず。事実、私たちが行った当日はご年配のお客さんで満員で、ものすごくうけていました。
悲劇は喜劇、逆もまた然り、という言葉を思い出したのでした。
*日本でも公開されるとのこと、必見です(2018年4月8日追記)。