26.7.18

さらば、ホットミルクティー

ああ、とうとうこの日が来てしまったか・・・ごめん、もう限界なんだ!
と大げさに嘆いてみたりするけれども、我々にとっては大ごとである。それは紅茶。毎朝欠かさず飲んでいた熱い紅茶に、もうまったく手が伸びない。理由は簡単で、ここ最近暑すぎるからだ。今週はずっと30度越えで、今日はなんと35度まで上がるらしい(!)おかしいなあ、ここ、北緯51度のイギリスのはずなんだけど・・・北海道よりも北にあるとは思えない暑さだ。
昨日も今日も、BBCのニュースは暑さの話題で持ちきりで、必ず東京から特派員のレポートがある。もう「うわ、暑そう」としか感想が出てこない。特派員の額の汗が事態を雄弁に物語っている。
閑話休題、紅茶のこと。熱いのがだめなら冷たくしちゃおう、ということになり、アイスティーを作ることにした。スーパーでレモンとミントを買って、さあ容器を、と来たところで問題発覚。いくら探しても適当な容器が見つからない。せいぜい1リットルぐらい入るガラス製のボトルか、水筒、もしくはピッチャーしかない。そうこの国では日本の家庭でやっているような、夏に冷たい飲み物を作り置きするということが(多分)ない。したがって容器もない。
うーん、盲点だった・・・でも思えば、冷たいものをそんなに飲まない国である。アイスコーヒーやアイスティーがない喫茶店(スターバックスの一部店舗含む)も多いし、あればあったでお店はわざわざ「アイスコーヒーあります」と看板を出してるし(もしくは窓ガラスに書く)、おまけに7月の平均気温は19度、最高気温は23度、25度を超えるともう暑くてやる気が出ない国だから、冷たいものはほとんど飲まなくても済んでしまう。ビールで充分でしょうということになる。
こうなったらいつも紅茶を淹れているポットと、コーヒーメーカーのポットにそれぞれ作るしかない。合わせて3リットル。これにレモンの輪切りとミントを入れて、あら熱が取れたら冷蔵庫に放り込んでしばし待つ。これで乗り切るしかなさそうだ。
当然ながら今我が家はものすごく暑いのだけれども、これに気付いたのは実はつい昨日のこと。温度計を確認したらなんと29度だった。湿度が低いから気付かなかったけれども、普通に考えたらかなりまずいだろう。ちなみに今日は、さきほど午後1時半の時点で30度を超えていた。そりゃ冬暖かいわけだ。我が家のクーラーの形をした扇風機が憎らしい。あまりに冷房が効かないから窓全開で凌いでいるありさまだ。意味ないじゃんか。
こんな状況だから、昨日スーパーから帰る前に旦那さんに送ったラインメッセージに、きっと皆さん同意してくれるに違いない。
「どうしよう、涼しすぎてスーパーから出られないわ!」

22.7.18

ワールドカップに便乗して

写真は散歩をしていたら見かけた建物。窓枠と重なって分かりづらいですが、イングランド国旗が六つ全ての窓に掛けられています。記憶では、右隣の建物の窓にはポルトガル国旗が掛けられていましたが、ポルトガルがグループリーグ敗退となるや外されてしまったようです。無念。

サッカーのワールドカップが終わってしまいました。決勝戦はVARの判定も含めて疑問に思うこともありましたが、それもサッカー、ということなのでしょう。私たちは家のテレビで観ていまして、終わったら「ラ・マルセイエーズ」を大声で歌う人たちが大通を歩いて行くのが聞こえました。特に"Marchons, marchons!" の部分は声が割れんかぎりの力を込めていました。そのあと飲みに行こうとしたら、女性が車の後部座席から身を乗り出してフランス国旗を両手で広げ、叫びながら走り去っていきました。何はともあれ、おめでとうございます。
今回は、誰もイングランドチームに期待していなかったというワールドカップのちょっと笑える便乗・余波について。

1. ハリケーンという名前のパイがあった
パイミニスターというパイ屋さんがワールドカップ期間中に売り出したパイがこちら。

The Hurrikane とあり。スペリングからして明らかなように、イングランド主将の Harry Kane と hurricane をかけたものです。イングランド戦を観るまでハリー・ケーンのことを知らなかったので、試合中に「ハリケーン」と聞こえるたびに「こんなに天気がいいのに、なぜハリケーンがロシアで叫ばれているのか?」と思っていました。ちょっと弁解をさせてもらうと、Harry の a はとても短く言われることが多く、しかも実況中だとなおさらなので、hurricane の u の発音と近く聞こえるのです。

2. 携帯通信会社の Three が期間限定で Three Lions になった
写真はこちら。私たちも使っている携帯会社の Three の店舗名の横に、かわいいライオンが3匹。中華街の近くで撮影しましたが、他の店舗でも見かけました。

イングランド王室の紋章が3匹のライオンで、ユニフォームにも入っているため、Three Lions といえばイングランドチームのことになります。

3. ワールドカップ期間中のパブでは、他人にむやみに話しかけてはいけない。でもいいこともあるかもしれない。
バラ・マーケットの近くにあるパブで飲んでいたとき、向かいに座っていた50代と思われる男性に「イングランドチームがグループリーグを勝ち進んでますね」と話しかけたら、「僕はスコットランド人だから、イングランドなんて負ければいいと思ってる」と返されて冷や汗をかきました。「うっわ、しまった!」と思ったのですが、おだやかな方だったので嫌みさは微塵もなく、むしろ「今回は日本だって活躍してるじゃないか。次が楽しみでしょう?」と話しかけてくれました。しばらくお話ししたのち、「じゃあまたね」と握手をしてお店を出て行かれました。
サッカーだったからまだよかったのかも。これがラグビーだったらどうなっていたことやら・・・

4. サウスゲート駅がガレス・サウスゲート駅になった
ロンドン北部の地下鉄駅、Southgate 駅が、イングランド監督ガレス・サウスゲートに敬意を表して16日と17日の二日間だけ Gareth Southgate 駅になりました。地元の人も好意的で「ずっとこのままがいい」という人もいるらしい。ぜひこちらからどうぞ。動画もついています。
https://www.bbc.co.uk/news/uk-england-london-44844999
サウスゲート監督のおかげで、チョッキが復活しつつあるそうで、ショーウィンドウにもチョッキが並んでいるのをよく目にします。ところで、イギリス英語ではチョッキを waistcoat と言うんだそうです。vest というと袖無しの下着のことなんだとか。ただし、アメリカでは vest がチョッキになります。 いやー、知らなかったわ。
駅名は便乗しすぎな感がありますが、1990年以来久しぶりの4位と思えば、これくらいはいいのかなと思いました。

10.7.18

暑さとサッカーと

いやはや、昨日までのロンドンは例年にない暑さでまいっていました。30度の日が2週間以上続いていて、昼も夜も暑く、したがって寝付きも悪くてしんどいものがありました。レンガ造りの冬仕様の家になぜかまったく効かないエアコン。扇風機を買っていく人を何人通りで見たことか。今日は23度まで下がり、天気も曇りで非常に過ごしやすいです。

さて、今日はワールドカップ準決勝ベルギー対フランス戦。なんだかこれが決勝のような感がありますが、面白い試合になりそうなので見なければ。これまでサッカーにあまり興味がなかったのですが、ワールドカップを見始めたら面白くてはまってしまいました。解説が充実しているからでしょうか。選手がどう空いた空間を使い、攻めていくかを解説してくれているので、構造的に見ることが要求されるんだなと思います。よいプレーには最大限の賛辞を贈り、だめなプレーにはものすごく手厳しい、これもはっきりしています。日本対ベルギー戦のときは、結果は残念だったけれども日本の戦い方を絶賛していました。BBC の Man of the Match には乾選手が選ばれていましたし、あのシュートには"Lovely finish!"とか"It is a truly world class goal!"などと解説者が口々に叫んでいたのを思い出します。乾選手がフリーになるように動いた香川選手の動きもよかったですね。ポーランド戦でも、後半こそ"Surreal!"と言われたものの、前半は日本のプレーに感心していて、「こんなにボールを確保して攻めてくるチームと戦うことになるのだとしたら恐ろしい」とまで言っていたのでした。そのときはまだベルギーとイングランドのどちらが日本と戦うことになるか分からなかったですしね。

先週土曜日のイングランド対スウェーデン戦をパブで見ていたら、90分間、お客さんの大半は立ったまま、仁王立ちでした。イングランドがゴールしたときの、腹の底から噴き上げる歓声の迫力はすさまじいものがありました。その前のコロンビア戦もパブで見てましたが、テレビ画面の前にみな釘付け、PK戦を食い入るように見ていたのが印象的でした。最近いいニュースがなかったので、イングランドが4強に入ったのがそれはそれはもう大ニュースで、街を歩いているとイングランド旗を付けた車や窓を見かけるし、土曜日の公園ではサッカーボールを蹴っている子供達が楽しそうで、スポーツの効果って大きいんだなあと実感しました。イングランドチーム監督のガレス・サウスゲイト監督はその功績と実直さから、ツイッターで#GarethSouthgateWould (ガレス・サウスゲイトはこういうことをするだろう)で話題になっています。例えば「ガレス・サウスゲイトはバンク・ホリデーのあと、いつがゴミ出しの日か教えてくれるだろう。ついでに、ご近所さんにも声がけをするだろう」とか。秀逸だったのは「ガレス・サウスゲイトは政府内のごたごたを片付けて、ブレクジットをよい形で導いてくれるだろう」でしょうか。イギリス人の切実な願いが表れていますねえ。