28.5.19

仕事も家庭も、は可能か

昨日自分にとっても大事なことについて友人(女性)と話していました。それは「仕事も家庭も、は可能か」。
変わってきたとはいえまだ制約の多い出産後の仕事復帰は、程度の差はあれイギリスでも日本でも難しく、どちらも保育園等に通わせる金額は高額で、女性は復帰してもパートタイムで数年踏ん張らないといけない。イギリスの方がましのようなイメージだけれども、それもEUの一員でEU法に準じてきたからで、これが離脱すると、もともと資本家寄り、経営寄りの方針だからどうなるか分からないし、労働党は労働者の権利を守れと叫んでいるけれど、どこまでできるのか怪しいもんである。
冒頭の話に戻すと、友人のご両親は香港から渡ってきて働きに働いた人たちです。男の子を産んだあと、あまりに忙しすぎたので息子を自分の両親がいる香港へ戻した、つまり孫の面倒を祖父母に見てもらったのだそうです。2年経って息子さんがイギリスに帰ってきたら、何と妹(つまり友人)が産まれていて、両親は妹にかかりっきりという状態を目の当たりにする。友人曰く、「兄はショックだったみたいで、それから両親とも私とも距離を感じると言っている」と言っていました。
似たような話はうちの旦那さんもしていました。学会でとある論文のコメンテーターを務めたときのこと、その論文の著者はアメリカの大学院で博士課程に在籍中の中国人で、最近結婚したばかり。その彼と今後の進路について話していたとき、子供が産まれたらどうするかという話題になったそうで、その人は「中国にいる両親に見てもらうよ、そうすれば仕事に集中できるから」とさらりと言ったことにうちの旦那さんはとにかく驚いたと言っていました。奥さんも学者の卵で、夫婦でこう考えているようでした。もちろん色々な考え方があり、各家庭で話し合って納得して撰んだ方法ならそれでいいと思うし、尊重すべきで、自分がどうこう言う筋合いではありません。
ただ、中国にもまったく問題がないわけではないにしろ、これが発展を続ける社会の実情であり強みなのかもしれず、それと子育てで右往左往する日本の状況を比べると悲観したくもなっちゃうのですよね。もし産まれたら責任を持って育てるけど、あまりにも負担が大きすぎるように感じてしまうのが正直なところです。
はたしてどちらもは無理なのか。友人は「女性にとって人生は大変だけど、でも楽しいこともある。それに男性が楽をしているかと言われれば、そうとは限らない」と。確かに、女性の働き方だけではない。そして根本から変わらないともうもたないよね、という点では一致するけど、どう変わるとよいかでまた悩む、が最近のループなのでした。

23.5.19

夜中の火災報知器から住宅問題に思いを巡らす

昨晩のこと、エッセイを読んでいたら夜中の12時を回ってしまい、「そろそろ寝ないと」と思っていたら、ほんのり焦げ臭い匂いとともに火災報知器がわんわん鳴り出しました。
「うち!?」と思っていたら旦那さんが「とにかく出よう」というので、慌ててコートを羽織って階段に出たら、下に住むご近所さんも出て来たところでした。どうも原因はこのご近所さんのようです。
3人で1階に降り、火災報知器を止めようとパネルをいじるもののまったく鳴り止まないので、旦那さんは説明書を探しに一度部屋へ戻り、ご近所さんはスマホで検索し始め、私はとにかくパネルのボタンをいじるなど3人であれこれ試すこと30分、お目当ての動画を見つけたご近所さんが止めてくれました。
何かあったんですかとそのご近所さんに聞いてみたら、トーストを焼いていたら焦がして煙が上がってしまったと。何もなかったし、ご本人もちゃんと謝ってくれたのでまあ笑ってよしとしました。こんな夜中にトーストかよ、と思いましたけど。
何せすきまだらけなので、その後も我々のフラットに漂う臭いはなかなか消えず、トーストの焦げ臭にくるまれて就寝。うむ、くさい。

こうなるとやっぱり思い出してしまうのです、2年前のグレンフェルタワーの火災を。炎と煙があっという間に広がってしまって、しかも非常階段がなかったから多くの人が降りられなくて亡くなってしまったあの事件。外装に燃えやすい素材を使ってたとか(でも国の検査には通っていたらしい)、内部も配管がきちんと覆われてないのに消防検査は通った(しかも火事の数日前)とか、計画も管理もずさんだったことが発覚したのでした。裕福な人が多く住む地域に建つ、それほど裕福ではない人のためのマンションだったこともあり、地域のトップも政府も貧しい人を見捨てているといった批判も噴出して、一気に格差問題を含む社会問題に発展、住宅供給に悩む都市の問題をあぶり出しました。

問題は火事だけではなくて、AirBnBの問題もあります。私たちの上に住んでいたご近所さんは、いつの間にかフラットをAirBnBに貸し出していたようで、入れ替わり立ち替わり、旅行客のような人たちが階段を上がっていくのを聞いていました。ニュースではAirBnBに貸し出されている物件があまりに多くて、市内で働いているのに市内では住む場所がなかなか見つからないとか、地域の関わり合いが変わってしまって困る、といった批判をよく聞いていたこともあり、「とうとうここにもやってきたか」と思っていたら、先週浴室の天井から水がぽたぽた垂れてきていて仰天しました。
上から降りてきた旅行客を旦那さんが捕まえて話を聞いたら、朝方にシャワーをみんなで使ったとのこと、さらに上のフラットに行ってオーナーに連絡してくれるよう頼みに行ったら、6人で旅行してきていて、朝方代わる代わるシャワーを浴びたそうでした。全般的にイギリスの配管の技術が劣っているのは承知してましたが、6人のシャワーで水漏れなんてあまりに軟弱すぎるのではないでしょうか。
幸いオーナーさんは(つまり昔のご近所さん)はすぐに対応してくれたので水漏れは止まりましたが、急に何かが起きたときに連絡がつくのか、責任はどうするのかなど、住宅問題は尽きることがありません。もうこういうことがないようにと願いつつ、自分も気を付けなければ、と思うのでした。