23.5.19

夜中の火災報知器から住宅問題に思いを巡らす

昨晩のこと、エッセイを読んでいたら夜中の12時を回ってしまい、「そろそろ寝ないと」と思っていたら、ほんのり焦げ臭い匂いとともに火災報知器がわんわん鳴り出しました。
「うち!?」と思っていたら旦那さんが「とにかく出よう」というので、慌ててコートを羽織って階段に出たら、下に住むご近所さんも出て来たところでした。どうも原因はこのご近所さんのようです。
3人で1階に降り、火災報知器を止めようとパネルをいじるもののまったく鳴り止まないので、旦那さんは説明書を探しに一度部屋へ戻り、ご近所さんはスマホで検索し始め、私はとにかくパネルのボタンをいじるなど3人であれこれ試すこと30分、お目当ての動画を見つけたご近所さんが止めてくれました。
何かあったんですかとそのご近所さんに聞いてみたら、トーストを焼いていたら焦がして煙が上がってしまったと。何もなかったし、ご本人もちゃんと謝ってくれたのでまあ笑ってよしとしました。こんな夜中にトーストかよ、と思いましたけど。
何せすきまだらけなので、その後も我々のフラットに漂う臭いはなかなか消えず、トーストの焦げ臭にくるまれて就寝。うむ、くさい。

こうなるとやっぱり思い出してしまうのです、2年前のグレンフェルタワーの火災を。炎と煙があっという間に広がってしまって、しかも非常階段がなかったから多くの人が降りられなくて亡くなってしまったあの事件。外装に燃えやすい素材を使ってたとか(でも国の検査には通っていたらしい)、内部も配管がきちんと覆われてないのに消防検査は通った(しかも火事の数日前)とか、計画も管理もずさんだったことが発覚したのでした。裕福な人が多く住む地域に建つ、それほど裕福ではない人のためのマンションだったこともあり、地域のトップも政府も貧しい人を見捨てているといった批判も噴出して、一気に格差問題を含む社会問題に発展、住宅供給に悩む都市の問題をあぶり出しました。

問題は火事だけではなくて、AirBnBの問題もあります。私たちの上に住んでいたご近所さんは、いつの間にかフラットをAirBnBに貸し出していたようで、入れ替わり立ち替わり、旅行客のような人たちが階段を上がっていくのを聞いていました。ニュースではAirBnBに貸し出されている物件があまりに多くて、市内で働いているのに市内では住む場所がなかなか見つからないとか、地域の関わり合いが変わってしまって困る、といった批判をよく聞いていたこともあり、「とうとうここにもやってきたか」と思っていたら、先週浴室の天井から水がぽたぽた垂れてきていて仰天しました。
上から降りてきた旅行客を旦那さんが捕まえて話を聞いたら、朝方にシャワーをみんなで使ったとのこと、さらに上のフラットに行ってオーナーに連絡してくれるよう頼みに行ったら、6人で旅行してきていて、朝方代わる代わるシャワーを浴びたそうでした。全般的にイギリスの配管の技術が劣っているのは承知してましたが、6人のシャワーで水漏れなんてあまりに軟弱すぎるのではないでしょうか。
幸いオーナーさんは(つまり昔のご近所さん)はすぐに対応してくれたので水漏れは止まりましたが、急に何かが起きたときに連絡がつくのか、責任はどうするのかなど、住宅問題は尽きることがありません。もうこういうことがないようにと願いつつ、自分も気を付けなければ、と思うのでした。