11.7.16

次期保守党党首が決まる

2時間前、アンドレア・レッドサムが保守党党首選から脱退することを発表、次期保守党党首はテレーザ・メイに決まりました。驚き半分、納得半分といったところでしょうか。
驚き半分というのは、すでに候補者として確定したのに、早い時期に辞退したこと。納得半分は、先週末からの一連の報道で、「こりゃもたないだろうな」と思っていたら、事実そうなったということにつきます。
先週末、タイム紙のインタビューで、レッドサムが「メイには子供がいないが、自分は母親だからこの国のためにできることがあるし、有利である」という発言をしたことが掲載され、証拠の音声も公開されたのです。これが、国会議員からだけではなく国中から強い批判を招きました。子供がいようがいまいが、有効な政策を打ち出して実行できるか、その職に見合う能力・経験を持っているのかが問われるべきです。これは保守党党首だけではなく、どんな仕事にもいえることだと思うのですが。
経験については、レッドサムの実績が疑問視されており、メイと比較してやはり数段劣ることが、党首選で不利だろうとすでに言われていました。そこへ母親発言が追い打ちをかけたわけです。
BBCのコメンテーターだったと思いますが、「レッドサムはEU首脳陣とやり合うための経験もなければ、ジャーナリストへの対応もまるで分かっていなかった。党首になるための準備ができていないかった」とばっさり切り捨てていました。

というわけで、次期党首・首相はメイで決まり、キャメロンと交代するのがいつになるかが関心の的となっています。
メイの発言を聞く限り、かなりの強行派です。もともと残留派でしたが、"Brexit means Brexit!"ときっぱりと意思表示をしています。「メルケルとやり合えるのは私」と言い切る彼女はかなりの胆力の持ち主といえるでしょう。しかし、それだけではなく、ユーモアのセンスも持ち合わせています。「私はこれまでに、EUでの会議で様々な交渉にあたり、実際に功績をあげてきました。ボリスがEUでの会議のあと持って帰ってきた物を覚えてます?放水車だけですよ(ボリス・ジョンソンが買った3台の対デモ用放水車のこと。ちなみに、現ロンドン市長のサディク・カーンは、「必要ないので売却して、その売上金を若者支援に使う」と言っています)」
メイはカリスマ性に欠ける、という批評家もいますが、たとえ持ち合わせていても政治的成功には必ずしも結びつくわけではない。その人には、「キャメロンにはあったのでしょうか?」とぜひ聞いてみたい。そして首相になったときはあれだけの人気を誇ったブレアも、今やイラク戦争についてのチルコット報告書によって戦争責任を問われています。一方、「メイは実務経験はあるけれども、国の制度や方針を全面的に変えることができるほどの発想力はない。『第2のサッチャー』にはほど遠い」という意見もあります。それはこれから次第でしょう。
以上お昼のニュースでした。