博士課程2年目にあたる今年1年はフィールドワークでデータを集めてくることになっています。私もそうで、昨年10月から半年ほど東京に滞在して史料集めをしてきました。本当は1年いたかったのですが諸事情により半年にせざるをえませんでした。が、よい時間だったと思います。課題は集めたものをどれだけ読みこなせるか、今回集めた史料だけで本当に足りるのか、でしょうか・・・江戸時代の史料は尋常じゃない量が残り(さすがは紙の文化、羊皮紙文化ではこうはいかない)、しかも9割は未翻刻かつ未出版なので、よく言えば発掘しがいがあり、悪く言えば見つけた者勝ち、使った者勝ちのような印象があります。中世史であれば基本的な史料論が出版されてますが、近世史にはそれがない。これはもう近世史研究者にガイドラインを提示してもらえるのを大いに期待したいところです。
史料集め以外の活動はこんな感じでした。
2017年
10月
日本到着。10月というのに夏かと思うほど暑い。とにかく暑い。と思ったら台風で一週間以上ずーっと雨。毎日雨なので気が狂いそうになる。
11月
イギリス、アメリカ、オーストラリアの陶磁器愛好家グループに通訳として付き添い、九州へ。窯場や磁土発掘場など見学。言葉が出てこなくて冷や汗たれまくりだが、何とか乗り切る。
非常勤講師の友人に誘われて、ある大学で講義。ジャポニスムについてということで急いで勉強する。「何分でもいいです」と言ってくれたけれども40分程度の授業で勘弁してもらう。うすーくしか知らないので、昔にもっと勉強しておくんだったと激しく後悔。これが60分、90分の授業だとどうなるのか、と気が遠くなる。昨今の学生はスマホでパワーポイントを撮影するらしい。何人かいたので、まあ興味を引くことは出来たのかな、と自分を慰める。
それにしても、今の非常勤講師はあまりに大変である。友人は試験問題をあらかじめ配って解答を準備させた上で、それを試験本番に持ってこさせ、解答用紙に書かせると言っていた。それって試験なの?と聞いてみたが、そうしないと単位を落とす学生が多いのだそう。高等教育とは何かを考えさせられる。
12月
発表1つ。出来は分からないけど新しい出会いもあってよかったと思う。年末にロンドンへ戻る。
新年をスコットランドはエディンバラで迎える。イングランドとはまた違う年越しで面白い。元日はエディンバラ動物圓でペンギンの行進を見て興奮。
2018年
1月
発表2つ、茶の湯関係と近世史で。分野が違うと興味はこうも違うのか、と驚く。
2月
奨学金応募書類の準備に追われる。指導教官から研究計画書のだめ出しを大いにくらう。どれくらいかというと、毎行赤が入るぐらい。内容はもちろん、イギリス英語にお厳しい方なので綴りを全て直してくれたのだが、申し訳なさの極みである。日本語だと漢字を間違っている感覚に近いかな。徐々に慣れてきたとはいえ至る所にトラップありまくりである。maneuverはmanoeuvreなんて、知らなきゃ書けるはずもない。全面書き直して何とか提出。受かりますように!!
地方へ調査に出かけて公立図書館の対応の素晴らしさに感動。皆さんすばらしいお仕事をされております。
3月
都内及び地方で調査。旦那さん来日。昨年末に私の祖父が亡くなったので納骨を行う。納骨に先だち本堂でお経を尼さんと一緒にみんなで読む(そういうものなの?)しかも10ページ以上。家族全員が戸惑ってぼそぼそと読む中、旦那さんは長年のバス経験者として朗々と読む。最後の一節だけ節回しが異なるけれども、そこもばっちりクリア。尼さんから「○○家の方は音楽の才能がおありですね」とお褒めの言葉をいただき、旦那さんはその後皆から誉められまくる。
一緒に博士課程で勉強している友人が来日、調査に通訳として同行。
4月
イギリスへ帰国。
この間、友人、知人と積もりに積もりすぎた話を共有し、自分の今後の生き方について思いを馳せました。
時差ぼけから回復しつつあるので、半年間に起きたことをもう少し書いてみようと思います。