昨年の年末に行ったウィーンが、それとはかけ離れた美意識をどーんと体現しているのと好対照です。なんせ道が広い。片側の車線だけで2車線を確保し、歩道も団体旅行客が歩くのに申し分ない広さ。それに加えて、建物の様式と大きさ・高さが揃っているように見えました(ただしその様式名は分からず)。そしてほぼすべて石造り。あまりにざっくりな感想ですが、さすが元オーストリア・ハプスブルク帝国の首都にふさわしい、これぞ「帝都」といったような感じでした。
対するロンドン、道はくねくねしているし、直線で構成された碁盤目上の通りなどほとんど無いのではないでしょうか。行き止まりの道も結構多いし、幅はたいてい狭いです。狭いからこそ、あの赤い2階建てバスがあるのでしょう。「よくこんな狭いところを」と思う角をすいすい曲がるハンドルさばきは見物です。
ロンドンは1666年の大火で大きな被害を蒙ったあと、市再建計画が持ち上がり、当時の建築家がバロック様式の、線対称に整備された通りを持つ計画を提出したらしいのですが、結局実現には至らず、昔ながらの通りを生かして再建されたとのこと。人手が足りなくてとてもそんな大それた計画を実行している場合ではなかったらしい。
ロンドンの都市景観で次に重要なのは、第二次大戦中のドイツ空軍による爆撃でしょうか。今月20日に第二次大戦期のものと思われる不発弾が見つかり、近くのヴィクトリア・パークにいた人を避難させたあと、警察が爆発処理を行っていました。22日にも、ロンドンの東南部でもう一つ見つかったようです。
そのニュースをフェイスブックで登録していたBBCのニュースで知ったわけですが、コメント欄には、「あのナチスめ!」というものも結構ありました。
そして何という巡り合わせか、明日の歴史セミナーではイギリスと日本の空襲がテーマでして、都市住民が空襲をどのように捉えていたか、イギリスと日本の比較をするんだそうです。主催者としては前もって準備していたんでしょうけど、実際に不発弾の発見が続いているときにというのが不思議な縁を感じさせます。
'The Muses of War: Terror, Anger, and Faith during the Bombing of British and Japanese Cities, 1940-1945'
Dr Aaron Moore
戦後はまだ続く。というわけで、明日セミナーに行ってきます。