16.1.16

魚屋の誘惑

先日は肉屋の話でしたが、実は私も旦那も魚が好きでして、いい魚屋はないものかと探していました。スーパーでもパック詰めのものは売っているのですが、サーモンしか見たことがありません。渡英して4ヶ月、そろそろ魚料理が食べたいなあと思っていたところ、ロンドンによいお店があることを知り、昨日出かけてきました。
La Petit Poissonnerie, 最寄り駅は Northern Line の Camden Town でそのお店は日本人とフランス人が共同で運営しているようです。
店内に入ると、氷が敷かれた大きなテーブルの上に、大量の魚介類が盛り付けてありました。日本人の店員さんがいるので料理方法などを聞きつつ、鯛の一種2尾に鱸1尾、鰯6尾、そしてサーモンの燻製をはちみつで味付けしたものを一切れ購入。しめて約18ポンド。燻製は、「よかったらどうぞ」と差し出されたものをいただいたら、噛むごとにじゅわりとしみ出るエキスがたまらず、即決でした。「これはご飯と食べたらさぞおいしいだろう」と(事実そうだった)。
店員さんに頼めばさばいてもらえますし、2枚おろしや3枚おろしも可能です。今回は頭を落として内臓も取り除いてもらいました。
鯛はさっと塩を振ってオーブンで焼きました。身はほくほくに仕上がり、久しぶりの魚の味を噛みしめました。鰯は生姜煮にして冷蔵庫へ。
思えば小学生の頃アメリカにいたときは、生の魚を食べる機会などありませんでした。仕方のないことではありますが、魚といえば冷凍食品だったと記憶しています。父曰く、「freshというのは『採れたてで新鮮』ではなくて、『採ってから何も処理をしてない』と聞いた」そうで、つまり「生の魚を見たら怪しいと思え」が鉄則でした。
意を決して魚を買いに行ったのは、アメリカ暮らしに慣れた2年目の秋でした。「意を決して」と書いたのは、新鮮な魚を売っていたお店がフィラデルフィアの中でも、ものすごく治安の悪い地域にあったからです。周囲は裏寂れて、見るからに危なそうな感じでした。確か銅鑼声でバナナのたたき売りをするおじさんがいたような・・・。
お店のことはまったく覚えてないのですが、良さそうな鯖を買い、急いで帰宅。怖い思いをしながら買いに行ったからというわけではないですが、母が作った味噌煮は、それはそれは感動ものでした。アメリカで食べた魚料理で覚えているのはこれしかないぐらい。日本にいるときは好きではなかった秋刀魚の塩焼きが食べたくなったりしたのもこの頃でした。
それが、今やロンドンでは生の魚が手に入るとなると、隔世の感があります。毎週行くわけにはさすがにいきませんが(予算的に)、魚が食べたくなったらここへ行こうと思える場所を見つけたのは心強い。

La Petite Poissonnerie